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性感染症で子宮頚癌!! HPVの関与?

 ヒトパピローマウイルス(HPV)は,パポーバウイルス科に分類される,皮膚のイボ(乳頭腫)をつくるウイルスです.皮膚以外にも口や生殖器などにも接触感染し,乳頭腫をつくります.遺伝子の塩基配列に基づいて,型の分類が行われおり,現在,80種類以上に分類されています.生殖器に感染し,尖圭コンジローマの原因となることは,知られていましたが,最近,特に,子宮頸癌との関連が注目されています.性行為感染症としては,若年者のクラミジア感染症の蔓延が知られていますが,HPVの感染も確実に広がっています.

 尖圭コンジローマに関しては,感染症発生動向調査事業により性感染症定点病院から保健所へ届出され,発生状況の把握が行われています.外陰部や肛門に突起状の小丘疹を形成し,治療は電気メスによる焼灼や液体窒素による凍結などが行われてます.しかし,子宮頚部の異形成(癌になる前の状態)は,性行為感染症として認識されてはおらず,10代や20代で異形成が見つかっても,HPV感染症の可能性の説明はないこともあります.HPV感染例の1〜3%が高度の異形成に進展し,その1/4が子宮頸癌になるとされており,また,HPV感染以外の原因の子宮頚癌もありますので,心配しすぎるのも考え物ですが,もし,異形成が見つかれば,定期的な検診は必要です.

 子宮癌のうち,子宮の入り口(頸部)から発生する癌の約90%は扁平上皮癌です.子宮頸癌組織より最初にHPV16型遺伝子が検出されたのをきっかけに,18,31,33型など多くの型が子宮頸癌と関連していることがわかってきています.比較的ローリスクのHPV6,11,41,42,43,44型,ハイリスクのHPV16,18,31,33,35,39,45,51,52,56,58,59,68,70型など,感染しているHPVの型により,子宮頚癌の発生のリスクは異なります.健康保険の適応にはなっていませんが,HPVの型まで調べてくれる産婦人科も増えてきています.

(2004.4.24)

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